「ここ」と指差し、それから数歩歩いて、「ここ」までまず、線を引きましょう。
飛行機の機内誌「翼の王国」。JALでもANAでも機内誌は結構隅々読んでしまいます。
ANAの翼の王国には、映画・悪人の原作者である吉田修一さん、JALのSKYWARDには、浅田次郎さんの連載があるのですが、最近読んだ翼の王国9月号。
吉田修一さん原作で映画化された「さよなら渓谷」がモスクワ国際映画祭審査員特別賞を受賞。発表当日の出来事と映画づくり、ものづくりについてのことがつづられています。
そこにあった言葉。
=====
映画でも、建築でも、何かを作るということはなんでもそうだが、最初にそこに立つ人の前には何もない。
だた何もない空間が広がっているだけだ。設計図もなければ、手順もない。何もない場所で、まず「ここ」と指差し、それから数歩歩いて、「ここ」までまず線を引きましょうと言う。
簡単なことのようだが、その第一歩を踏み出すことにどれほどの勇気がいることだろう。
(中略)
人間の手など小さなものなのだから、できることなど限られている。それでも、そこにまた誰かの手が加わって、また別の誰かが手を入れて、最初は二つだった手のひらが四つ、六つ、十二、二十四と増えていく。それが百になって、映画が作られ、それが千二なって建物が建つ。
(中略)
石川啄木の「一握の砂」ではないが、なんとなく自分の手を「ぢつと見」てみる。いたって平凡な手で、これで何か大きなことができそうな気はしない。とりあえず、何かできることはないだろうかと考えてみて、ふと思いついた。
叩いてみる。
拍手だ。これなら、自分にもすぐできる。
=====
私たちがつくるホームページ。
まさに今、何もない空間への第一歩、みんなで一緒に踏み出しました。
「ここ」と指差し、それから数歩歩いて、「ここ」までまず、線を引く。
勇気がいるけれど、不安もあるけれど、一歩ずつ、着実に、でも早足で、進んでいこう。